みなさん、こんにちは!
7月も最終日で、いよいよ夏本番を迎えますね。
さて、前回は自己紹介と婦人科に対する思いを書きました。
今週から本格的にコラムタイトル通り、「聞いてほしいアソコの話」をしていけたらと思います。
実際にあった患者さんとのやり取りや、私が伝えていきたいことなどが、皆さんの心身に向き合うきかっけになれば幸いです。
ツライ生理痛、我慢していませんか?
「学生の頃から生理痛に悩み、30代で不妊治療を始めたのですが既に内膜症が重症化していました……自分の人生は生理が終わってから楽になるんだとずっと思っています」
これは、最近私の婦人科外来へ初めて来た46歳女性の言葉です。
私の胸に強く突き刺さりました。
また、この女性は、あと少し早くに低用量ピルや黄体ホルモンの薬について知っていれば、とおっしゃっていました。
生理痛や過多月経(経血が多いこと)は放置せず、出来るだけ早い段階で低用量ピルなどでコントロールすれば様々な女性疾患を予防・改善できるのです。
「ピル」と一概にいっても、
●低用量ピル
●経口避妊薬や避妊ピル
●月経困難治療薬
●OC・LEP
など、呼ばれ方は様々で、一般人が混乱してしまう用語が多すぎるのかな、とも感じます。
また、日本では「ピル」はまだ馴染みのないものであり、卑猥な薬とさえ捉える人も少なくありません。
今更聞けない、ピルってなぁに?どんな薬?
このようにピルにはいろいろな呼び名がありますが、中味はみんな同じです。
ピルは、黄体ホルモン(プロゲステロン)様作用を示すプロゲストーゲンと卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類で構成されるホルモン剤です。
これらのホルモン剤は、子宮の内膜に働きかけて、過剰な内膜の増殖を抑える働きがあります。
子宮内膜が厚くなることは妊娠(着床成立)に必要なことですが、これが増殖しすぎると子宮内膜増殖症やがんになってしまう可能性もあるのです。
加えて経血量が多くなり、生理痛などの痛みも引き起こしやすくなります。
その過剰な内膜増殖をピルで抑えることにより、月経血はうんと少なくなって子宮にとっては楽チンな状態となるのです。
避妊効果もある「ピル」
また、ピルによって卵巣の中にある卵胞が刺激を受けなくなるので、ピル内服期間は排卵も抑制されます。
排卵が抑えられるということは、避妊効果があるということです。
このおかげで、排卵痛なども起きず、卵巣も休んだ状態になっているのです。
ピルに避妊効果があるというのは、上記のメカニズムのおかげなのです。
ピルの内服をやめたら、翌月から排卵し、妊娠可能となります。
巷のうわさでピルを内服すると「将来は妊娠しにくい身体になる」と言われていることもありますが、そんなことは決してありません!
むしろ、ピルは不妊症の原因ともなり得る子宮内膜症などの病気を予防することでも知られています。
また、「ピルは怖い、太る!」なんていうこともありません!
生理痛はガマンするものではなく、将来のためにも改善されるべきもの
全ての月経困難を訴える患者さんに、ピルの種類や作用について分かりやすく説明するのは婦人科の義務だと私は思っています。
内膜症や月経困難症で苦しむ女性をもう少し早くに救うことが本当にできなかったのか……悔やまれる症例が巷には多すぎるのです。
多くの女性が経験する生理痛についてきちんと啓発されていない現状、これってものすごい経済損失なのです。
実際、生理痛による労働力の低下による経済的損失は年間6828億円といわれています(バイエル薬品が日本人女性約2万人に実施した調査結果)。
また、若い女性が生理痛を放置して、いつの間にか重症な子宮内膜症を発症しているという症例を多くみかけます。
毎月のように生理痛に悩まされ、市販の鎮痛薬でなんとか凌いでいるという女性の皆さま、痛み止め薬だけでは根本的な解決は何も出来ていないのです。
現代女性の10分の1が子宮内膜症にかかってしまう昨今、今のうちに月経量をきちんとコントロールしておかないと、将来的に不妊症や卵巣癌のリスクを抱えることになります。
他にも、生理が止まってしまったり、周期がバラバラの生理不順も決して放置しないでください。
放置すると、疲労骨折や不妊症のリスクとなってしまいます。
「痛くなったらすぐセデ〇♪」ではなく、すぐ婦人科へ。
「痛みに負けル〇!」ではなく、痛みは我慢せずに気軽に婦人科へ。
生理痛から解放されたとき「こんなにも生活しやすいのか!」と嬉しくなったというお声もたくさん聴きます。
どんな些細なことでも気軽に相談してくださいね。
それではまた来週、お会いしましょう(^▽^)/
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