皆さまこんにちは!ごきげんいかがですか。
低気圧にすこぶる弱いヤノミです。
漢方やチャイなど飲み、耳ツボを刺激したり、あれこれと身体のきげんを取りながら生きております。
さて前回は日本国内のこども劇場についてご紹介いたしましたが、今回は海外で出会ってきた、子どものための演劇祭についてお話ししてまいりましょう~!
おとな気分でも、子ども気分でも、ご自由にお楽しみいただけましたら幸いです。
子どものためのキッズフリンジ
北米のフリンジには、おとなのための演劇とは別に、子どものための「キッズフリンジ」を開催するものもいくつかあります。
アメリカのフロリダ州、オーランド・フリンジは、アメリカ国内のフリンジとしては最も歴史が古く、なおかつ規模も最大です。ディズニーワールドやユニバーサル・スタジオでも有名なここオーランドでは、キッズフリンジも盛大に開催されています。
ゆったりと広い野外会場には色とりどりの装飾がなされ、フリンジ期間の土日にはたくさんの親子連れが訪れます。地面には手作りのアートきのこが生えていたり、あちらこちらに巨大な段ボールアートがあったり。
大きなテーブルがいくつもあり、そこかしこで工作や塗り絵や小さなワークショップが開かれています。また北米では子どもたちの顔にアーティスティックなメイクを施す「フェイス・ペイント」が大人気で、動物や妖精の顔になった子どもたちは、日常とは違うワンダーランドの住人になることができます。
どの場所にも元気なスタッフがいて、にこにこしながらサポートしてくれるのです。
このキッズフリンジには、小さなテントの仮設ステージが設置されており、私も何度かそこでショーを務めました。
子ども向けのショーだと侮って、なんとなく「つきあい」で子どもと並んで観ていたお父さんやお母さんが、途中から目を輝かせて笑い、拍手をし、終演後には「いやあ、面白かったよ!素晴らしいね!」なんて言ってくれることも多々ありました。
キッズフリンジは基本的にすべてが無料というのがまた素晴らしいところなのですが、こうしたテントステージで短いショーを観てくれた親子が、改めてチケットを買って私たちの劇場公演に足を運んでくれることもあります。
キッズフリンジは、子どもたちはもちろんのこと、おとなたちにとってもアートへの気楽な入り口であり、演劇と出会うための素敵なきっかけとなっているのです。
キッズフリンジで活躍する多種多様なアーティストたち
キッズフリンジでは実にさまざまなタイプのアーティストたちが活躍します。
たとえば、このBIG Nazoという集団はビジュアル・アーティストであり、マスク(仮面)やパペット(人形)や、画像のような等身大のキャラクターなどを生かして世界中で活躍しています。
主にこうした野外会場を練り歩き、あらゆる観客を楽しませるパフォーマーたちです。
主宰のミニオとはすぐに仲良くなり、一緒に飲んだりもしました。
「ビッグナゾっていうのは、大きな鼻って意味なんだよ。でも日本語ではナゾは『謎』って意味なんだろ?オレ、それ気に入ってるんだよな。」
彼らのパフォーマンスはこんな迫力!
このオーランド・フリンジでは、キッズフリンジの活動の一環として、貧困地域の小学校での公演なども行いました。
ふだん劇場公演などに子どもを連れて行く余裕や習慣のない家庭のために、フリンジ側が学校へ出前公演を行うというわけです。
私もこれに参加し、何組かのフリンジ・アーティストたちとともに小学校のホールで次々と短いショーを上演しました。
「子どもたちに演劇を見せたい」想いで成り立つキッズフリンジ
アメリカだけでなく、カナダの各地でもキッズフリンジにたびたび参加して来ました。
おとなのフリンジに比べていっそう予算のないところが多く、時にはギャラなしのボランティアでショーをやることもありましたし、プロデューサーやスタッフチームが何とか頑張ってギャラを捻出してくれたり、お礼としてビールチケットをくれたりすることもありました。
こうしたフリンジの多くは、スポンサー企業による支援や公的な助成金や一般からの寄附金で運営していることが多いようです。
そして総じて、キッズフリンジのスタッフたちはとてつもなく陽気で、心が優しく、そして働き者です。
彼らの笑顔といったらもう、まさしく花が咲くかのよう!
私がキッズフリンジの何を好きかって、彼らスタッフがまず大好きです。
子どもたちに演劇を見せたい。
自由にアートに触れてほしい。
ものを創る喜びや表現の楽しさを知ってほしい。
子どものための演劇に携わるひとたちは、どの国でもそんな思いで日々、力を尽くしてくれています。
おとなも子どもも「自由」に楽しんでほしい
小心ズはこれまでのところ、どのフリンジでも作品の対象年齢を「All Generations=全年齢」として活動して来ました。
「おとな向け」「子ども向け」と区別するのではなく、できる限りすべての年齢の観客が楽しめるように、あれこれと工夫を凝らして創作しています。
いっぽう、テーマや内容によって明確に「おとな向け」である舞台作品や、月齢18ヶ月以下の赤ちゃんだけを厳密に対象とした「ベイビーシアター」など、しっかりとその観客層を限定して創られる舞台芸術もあります。
まさに、「みんなちがって、みんないい(金子みすず)」ですね。
演劇には多くの選択肢があった方がいいと私は思います。
選択肢が多いほど、おとなも子どもも自由になれるからです。
そして舞台芸術の多様性こそが、この世界の複雑極まるさまざまなボーダーを超え、異なる文化や背景のにんげん同士がお互いを想像しあい、理解しあっていくための大事な基盤なのではないかと思っています。
あらっ!北米のご紹介だけでいっぱいになってしまいました。
ポーランドのこともお話したかったのですが…、まあいっか!
次回も気ままに書いていくことでしょう。
今回もおつきあいくださってありがとうございました。
ご質問やリクエストなど、もしありましたらぜひお気軽に。
Stay safe and happy!