みなさん、こんにちは!
9月も後半に差し掛かりましたが、体調やココロの変化はいかがですか?
季節の変わり目は心身共にバランスを崩しやすいので、後回しや見ないふりをせず、ご自愛くださいね。
さて、今回のテーマは性感染症の「クラミジア」について切り込んでいきたいと思います。
割と知られた性病ではありますが、実はとっても恐ろしい病気なのです。
正しい知識を得て、きちんとした治療を知っておいていただくため、今回はクラミジアを一緒に勉強していきましょう。
罹患数が多い性病「クラミジア」
性感染症いわゆる「性病」にはクラミジア、淋菌、性器ヘルペス、コンジローマ、梅毒、HIVエイズなどがあります。
その中でも、婦人科の診察室で最も頻繁にみられるのがクラミジア感染症です。
クラミジアは性行為で感染しますが、たった1回の性行為でもうつる感染力の強い病気です。感染部位は下記の通りです。
【男性】
・尿道
・肛門
・口腔内(のど)
【女性】
・膣
・のど
・肛門
オーラルセックスでも感染するので、挿入がなくてもうつります。ただし、大衆浴場やサウナなど、性行為以外の場で感染することはありません。
感染してから発症するまでの潜伏期間は1~3週間です。ここで怖いのが、潜伏期間でも相手にうつしてしまうことです。
クラミジアは感染している人の多くが無自覚である場合が多く、気が付きにくい病気であることも特徴なのです。
こんなクラミジアは、直径約300nm(ナノメートル)の球形の細菌の一種で、ヒトをはじめとする動物細胞の中に寄生し、代謝物を栄養にして増殖を広げる厄介なヤツなのです。
ここで、nm(ナノメートル)ってピンとこない大きさだと思いませんか?
ブタクサの花粉で2万nm、よくあるバイ菌でも2千nmなので、この凶暴なクラミジアがいかに小さいか、ということです。
クラミジア検査でも「PCR」検査を使う
そんな小さいクラミジアをどうやって特定するか。
実は、クラミジア検査も、あの「PCR」を使います。
クラミジアの検査方法は、ウィルスのように顕微鏡では見ることの出来ない超極微小の病原体の有無を調べる「PCR検査」を使うことが多いです。
皆さんご存じの通り、新型コロナウィルスの検査でも広く使われている、あのPCRですね。
名前がすっかり有名になったPCR検査ですが、どうやって感染を検査するかというと。
婦人科の場合は診察室で内診台にあがることから始まります。
お股を広げて、腟の奥の奥にある子宮の入口の子宮頸部という部分をしっかり出します。
そして、子宮頸管内(子宮の入口)に細い綿棒を挿入して同じ方向にそっと5回転させ、頸管の検体を採取します。それから、その綿棒ごと指定の容器にいれます。
この検体をPCR機器にかけてクラミジアのDNAを増幅させて病原体を検出します。
他にも、尿やうがい液を使って、これらを検体としてPCRをかける検査もありますよ。
男性と女性では症状が全然違う!
クラミジアがどんな風に検査されるのかが分かったところで、気になる症状を確認しておきましょう。
まず、クラミジアは男性と女性とで症状が全然違います。
男性がクラミジアに感染すると、下記のような症状が現れます。
・排尿痛
・睾丸が腫れる
・さらさらした尿道分泌物が現れる
女性の場合は、感染しても殆どが無症状です。
女性のクラミジアは、まずは頸管に感染して炎症を起こします。
殆どの場合は無症状で進行していきますが、この時点で治療しないで放置してしまうと、卵管や腹腔内へ感染が進展していきます。
進行すると、子宮頚管炎、子宮内膜症、卵管炎、骨盤腹膜炎といった病気を発症してしまいます。
子宮外妊娠で夜間に救急搬送される患者さん
急な腹部の激痛で夜間に救急搬送でやってくる若い女性というのは、どの病院でもよくある光景なのですが、子宮外妊娠もその例外ではありません。
子宮の内腔以外の場所で妊娠することを子宮外妊娠(異所性妊娠)といいます。
その子宮外妊娠の約30%がクラミジアによる卵管障害が原因となっているといわれていること、知っていましたか?
クラミジアに感染すると、子宮の入り口から菌が入り込んで徐々に卵管の方まで炎症が波及して、卵管がベタっと癒着してしまいます。
すると、受精卵が子宮内まで運ばれずに卵管で着床してしまうというわけです。
卵管の窮屈な場所で胎芽が育ってしまい、ある程度大きくなって卵管破裂を起こし、お腹の中が大量の血の海となって緊急手術になる……なんてことも珍しくありません。
出血は時に2リットル以上におよび、人命に関わることもあるのです。
名の通った性感染症なので、あまり気にしていない方も多いのですが、上記症状以外にも様々な弊害がある病気なのです。
これを読んでいただけただけでも、クラミジアの恐ろしさが理解していただけることと思います。
次回もクラミジアについて掘り下げるとともに、予防や治療法も紹介していきます。
それではみなさん、また来週!
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