詳しく教えて！婦人科検診って何するの？③

皆さん、こんにちは！

レディースクリニック・サンタクルス・ザ・ウメダの藤田由布です。

婦人科検診についてのシリーズに反響をいただきありがとうございます！

皆さんの心身的な気付きや自身を振り返り、改めて大事にするきっかけになれば幸いです。

さて、今回は婦人科検診シリーズ最終回です。

内診を始め、子宮がん検診や検診に使用する器具などを、詳しくわかりやすくお話していきます。

詳しく教えて！婦人科検診って何するの？①
詳しく教えて！婦人科検診って何するの？②

婦人科検診の第一歩である内診

まず、婦人科検診で皆さんが一番抵抗があるのが「内診」ではないでしょうか。

内診（双手診）は、婦人科検診で重要な診察項目です。

子宮を調べるためには避けては通れないもので、たとえば耳鼻咽喉科で口を開けて喉の奥の状態を診てもらうようなイメージです。

診察台に座ってプライベートな部分をさらすだけでも抵抗があるのに、指を入れられるなんて……

たとえ相手が医師であっても、抵抗感や屈辱感があっても仕方がない診察ですよね。

その気持ちはあって当然だと、自分を責めないでください。

大事なのは、なぜその診察が必要なのかを正しく理解して、自身の考えをもって主体的になるということだと思います。

自分のカラダにとって重要な診察内容なんだと正しく理解することで、婦人科検診の第一歩を少しでも前向きに捉えられるようになれれば幸いです。

内診では何を調べているの？

そんな内診ですが、具体的にどのようなことを診察しているのでしょうか。

内診では、腟に指を入れ、もう片方の手は下腹部にあて、両方の手で挟みながら子宮の位置や大きさ・形・硬さ・周囲の組織と癒着がないかなどを調べます。

検査する医師の手の感覚で行う検査ですので、小さな子宮筋腫や卵巣腫瘍に関しては、指だけでは正確な検査とはいえません。

自覚症状などがあったり、医師がより詳しく診察が必要と判断した場合は、経膣超音波検査を行います。

内診はむやみやたらに膣内をかき回されるということは決してなく、どちらかというと膣内とお腹を圧されるというイメージに近いです。

もちろん、痛みのないように優しく圧をかけますので、怖がらなくて大丈夫。

力が入ってしまうと痛みを感じやすくなるので、まずは大きく息を吐き、リラックスすることを心がけるといいでしょう。

内診の前や診察中は医師が声掛けをしますので、力が入ってしまいそうなどの不安があれば医師に相談してみてくださいね。

超音波検診

経膣超音波は、子宮や卵巣を含む下腹部の状態を描写する検査で、女性の皆様にお勧めの検査項目です。

経膣超音波は、子宮内部の体がんなどを含む内膜の様子、子宮壁の平滑筋にできる子宮筋腫、卵巣の大きさ、卵巣のう腫、卵巣がんなどの陰影が写し出されます。

内診同様、婦人科で最もよく使われる検査です。

「経膣」超音波は、お腹の上からの「経腹」超音波と比べて、子宮や卵巣など婦人科臓器をはっきり描写することができます。

よく妊婦健診でお腹の上にゼリーを塗ってくるくると診察しているものがありますよね^^

あれが「経腹」超音波です。

経腹超音波は、肝臓や堪能や腎臓といった臓器を診る時にも使用されます。

超音波検査はＸ線検査とは違って被ばくすることがありません。

挿入する器具はどんなもの？

腟から挿入される「プローブ（探触子）」は、女性の手の親指程度の太さです。

つるんとしていてほとんど痛みを感じることはありませんが、性行経験のない女性は痛みを伴うことが多いので、事前に婦人科医にご相談くださいね（肛門から挿入することも可能です）。

器具を入れられるのは苦手に思うかもしれませんが、より子宮の状態や卵巣などを詳しく診れますので、内診では分かりづらかった病状なども発見することが可能です。

内診同様、多い検診項目だとあらかじめ心構えをしておくといいでしょう。

子宮頸がん検診

子宮頸がんは20～30代の女性で最も罹患率の高い「癌」です。

発がんするまで数年～10数年かかるとされ、検診を受けると「癌になる前の段階」で病変を発見することができます。

ガイドラインでは、隔年でちゃんと検査を受けてきた女性は69歳で検査を終了してもよいとされています。

イギリスでは3年おきの定期検診で65歳で検査を終了するとされています。

欧米の先進国の検診の受診率は約80％であるのに対し、日本ではとても低く24％程度。

子宮頸がんワクチンも接種率が0.1％以下という日本では、子宮頸がんは、毎年3万人以上の女性が罹患する身近な癌です。

ワクチンの重要性や副反応の有無については【子宮頸がんワクチン】命を守る予防接種ですで詳しく解説しています。

先進国が嘆かわしい実態です。

子宮頸がんはワクチンで撲滅できる病気なのです。

男女問わず、接種推奨のワクチンであることを、今一度皆さんにも知っていただきたく存じます。

子宮頸がんについては「毎年3,000人が死ぬ病気、子宮頸がん①」「毎年3,000人が死ぬ病気、子宮頸がん②」でも解説していますので、ぜひ合わせて読んで頂けると嬉しいです。

子宮頸がん検査の方法

頸部ブラシ（サーベックスブラシ）

子宮頸がん検査はとても簡単で、手順はざっとこんな感じです。

痛みは殆ど無いのですが、腟口が小さい方や、頸部（子宮の入り口）が奥の方にある方はクスコがギュッと奥に入る感覚がして痛い場合もあります。

また、内膜症の既往がある方で腹腔内に癒着がある方は、内診に痛みがあることが多いです。

内診を含む検査中に痛みを感じる場合は「痛いです」とハッキリ伝えると良いです。

痛みがあることも、内膜症や卵巣の病気などの大事なサインだったりもします。

子宮体がん検診の方法

子宮体がん検査は、痛みを感じることが多いです。

器具が子宮の中に入って内膜に触れる検査ですので、検査のあとに数日間、おりものが茶色っぽくなったり、出血したりすることがあります。

子宮体がんの検査には、細胞診と組織診があって、婦人科検診では細胞診を施行することが多いです。

採取時に使用する消毒綿棒

【子宮体部の細胞診】

腟から子宮内にブラシのような器具を子宮内膜の細胞を少し採取し、がん細胞があるかどうかを顕微鏡で調べます。

【子宮体部の組織診】

細胞診で異常があった場合や、持続する出血があるなど症状が認められる場合に行う検査です。

腟から細いチューブのような形をした器具を使って、疑わしい部分の子宮内膜の組織を吸い取ったりして採取し、顕微鏡でさらに詳しく調べます。

子宮体がんは、病状が進行していない早期の段階で出血することが多く、不正性器出血での発見が約90％といわれています。

このため症状が出たらすぐに検査を行うことで、早期発見が可能となります。

自分が信頼できる婦人科医を見つけよう

いかがでしたか？

主に婦人科検診で行われる検診内容や検査方法についてご紹介しました。

器具などの写真などでイメージが湧きやすくなりましたでしょうか。

婦人科検診と聞くと、痛いイメージや嫌なイメージがつきまといます。

でも実は、ほとんどが痛みを感じることがない検査ばかりで、あっという間に終わるものばかりです。

普段、めったに婦人科にかかることがない方へお伝えしたいことがあります。

なにげに気になっている婦人科のこと、ひとに聞けないオシモのトラブルのことなど、もしかしたらそれは、あなたのカラダからの重要なサインかもしれません。

検診時に普段気になっていた些細なことでも、ぜひ婦人科医にきいてみてください。

女性の皆さんには、かかりつけの婦人科を持ってもらうことが望ましいです。

不妊や妊娠、ホルモンバランスの乱れや月経、更年期の悩みにまつわることなど、女性のライフステージは年を重ねるごとに大きく変わってきます。

信頼できる、小さなことでも相談できる婦人科医を見つけておくだけで、女性のQOLはずっと向上すると思います。

婦人科医は、女性の味方です。

些細なお悩みでも、どうかお気軽にご相談くださいね。

婦人科検診シリーズ、ぜひ繰り返し読んでみてください！

それでは、今回はこの辺で(^^)/