みなさん、こんにちは!
前回の「カーテンの向こう側①」に続き、今週も「婦人科のカーテンの向こう側ってどうなってるの?」「使ってる器具はどんなもの?」と言った婦人科の裏側についてお話していきますね。
秋も深まってきた気配がありますが、皆さまの心身を健やかに整え、QOLの向上に繋がるよう、今日も診察と執筆に勤しんでいます。
婦人科の診察内容は問診と内診(触診)
婦人科で行う検診は主に、問診と内診(触診)です。
問診は患者さんの状態を伺ったり、いつからその症状があるのか、どんなことに悩んでいるのか、診察に来た目的や相談など、お話を通じて行っていきます。
この問診で、私たちドクターは患者さんとの信頼関係を少しでも築こうとする姿勢が大切です。
短い時間のなかで安心して診察を受けてもらうために、配慮や心配りは何よりも重要なこと。
患者さんは不安や悩みを抱えてこられるケースも多いので、そこに寄り添うことが私たちの勤めなのです。
ただでさえプライベートな診療科ですから、患者さんの気持ちを少しでも和らげてリラックスしていただきたいです。
ここをすっ飛ばす医者も残念ながらいますが……少しでも不安に感じたり、不信に思ったら違うクリニックへ相談してくださいね。
さて、問診以外の診察は内診(触診)となります。
手指で確かめたり、超音波で診察をします。
婦人科で使う超音波(エコー)は、経腟が多いです。
図のように、膣にプローブとよばれる細長い棒状のセンサーを挿入し、子宮や卵巣などを診察するものです。
この経腟超音波では、子宮と卵巣の詳細がしっかり診ることができるので、非常に有用的な診察でもあります。
たとえば、
☑子宮筋腫の大きさ
☑内膜の状態
☑卵巣腫瘍の性質や大きさ
☑内膜症の状態
☑妊娠していればその状態
☑骨盤内のトラブル
これを詳細に診ることができます。
妊婦健診を受けていらっしゃった方は2週間おきに超音波検査をしていたかと思います。
胎児や胎盤は、お腹の上からの経腹超音波が見やすいのですが、子宮頸管は経腟超音波でしかみることが出来ません。
「機械を入れるのってやっぱり抵抗がある……」という女性も少なくありません。
気になる経腟プローブの大きさですが、大人の手の親指ぐらいの太さです。
足の親指ほど太くはありません。
先端も丸く、殆どの人は腟に挿入しても痛みを感じることは無いので、ご安心くださいませ。
あと、毎回きれいに磨いて上から新しい薄手カバーを装着しているので、衛生面も問題ありません。
ただ、性交渉の経験がない女性の方には、このプローブを腟に挿入しません。
性交渉の経験がない方にとっては、内診や経腟超音波はとても恐ろしく感じることだと思います。
それは当然で人間として当たり前の反応ですし、決して恥ずかしいことではありません。
必要な場合は肛門からプローブを挿入して使う場合もあります。
親指くらいの太さなので、少し違和感はありますが、肛門から挿入しても痛みを感じることは殆どありませんので安心してくださいね。
最近の婦人科の診察室は、個々の事情やニーズに合わせるよう配慮していますので、どうか安心してご来院下さい。
子宮頸がんの検査はブラシとコルポスコピー
【子宮頸がんワクチン】命を守る予防接種ですでもお話しましたが、子宮頸がんの精密検査は「コルポスコピー検査」というもので調べていきます。
コルポスコピーとは子宮頸部を拡大してみるカメラのことで、これを使って行う検査がコルポスコピー検査です。
子宮頸部拡大鏡診ともいいます。
子宮頸がん検査で「精密検査が必要」といわれた場合は、このコルポスコピーで子宮頸部を診察します。
子宮頸部に、がんができやすい部位(移行帯)というのがあり、そこに3%酢酸溶液を塗ると、異常部分が白くなり観察しやすくなります。
白い異常部分が観察できると、上記の図のようなハサミ状の生検鉗子とよばれる器械で、異常部位の3mmほどの組織片をパチンと切り取り採取します。
小さな爪切りのような器械で、痛みを伴うことがありますが、一瞬チクッとする感じです。
処置の後に出血がある場合は、ナプキンを用意している婦人科が多いです。
組織片を切り取るので出血はある程度致し方ないのですが、やはり女性の心身を考えるとコルポスコピー検査を受けなくて済むように、子宮頸がんのワクチン接種が普遍的になれば、と心から思っております。
一番よく使う検査道具
検査キットで一番よく触れるのは、やはり子宮頸がんの定期検査で使うブラシです。
上記のコルポスコピーの精密検査と違って、殆ど痛みは感じないです。
これは「子宮頸部細胞診」といって、このブラシを腟から挿入し、子宮頸部をシャカシャカシャカと擦って細胞を採取するものです。
このブラシの先はとても柔らかくフニャフニャなので、何も感じない人も多く「え?もう終わったの?」って言われることが多いです(笑)。
痛みがないので、定期的に子宮頸がんの検診を受けていただけるよう、自治体もドクターもどんどん発信していかなくてはいけませんね。
そういえば、婦人科診察室のバックヤードを見渡したら、まだまだ道具がありました!
またの機会に、残りの器具を紹介したいと思います^^
婦人科を少しでも気持ちよく気軽に行ける場所に
2回に渡って「婦人科のカーテンの向こう側」をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
少しは婦人科の診察や医療現場がどんなものかお分かりいただけましたか?
プライベートな科ではありますが、オープンにすることで、少しでも患者さんの不安や不信を取り除けたなら幸いです。
「知っている」と「知らない」とでは診察ひとつとっても大きく差があるものですよね。
私のコラムで少しでも婦人科に対する抵抗が少なくなったり、自分の心身のために検診に行こうと思って下さる女性が増えたらこんなにも嬉しいことはありません。
これからも、女性のQOLが向上するために私にできることを邁進していこうと思います!
それではみなさん、また来週(*^^)
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