皆さま、お元気ですか?
この連載もあと2回で、いったんの区切りとなります。
ここまでお読みくださった方々、ほんとうにありがとうございます!
はじめましての方、はじめまして!
いずれにしても、乾杯。
あっという間の年末ですが、今年はいっそう短かかったように思います。
できなかったことのあれやこれや、わずかながらできたことのあれやこれや。
一つひとつを宝物として、しっかりと胸に抱いて師走を歩いていきたいものですね。
今回は、大人も決して侮るなかれ!驚異の人形劇の世界を、ちらりとご紹介いたします。
大掃除の合間にお読みくださいませ。
大人も子どもも魅了する!人形劇の世界
「人形劇」と聞くと、多くの方は「子ども向け」だとイメージすることと思います。
しかし、世界中にも日本国内にも、大人が観て楽しめるどころか、度肝を抜かれるような魅惑の人形劇が存在します。
日本最大の人形劇の祭典、長野県の「いいだ人形劇フェスタ」。
40年以上の歴史を誇るこのフェスティバルには、国内外から素晴らしい人形劇作品が集まります。
今回は、私が初めて観劇した2018年のフェスタから、自分の価値観がひっくり返るほど驚愕したいくつかの作品についてご紹介したいと思います。
まずは、人形劇団ココンによる「言葉のないマリオネット小品」。
山田俊彦さんが、人形製作から脚本、演出、操演(そうえん)まで手がけており、2019年には「やなせたかし文化賞」を受賞されています。
この山田さんの作品が、どれもこれも天才的に美しく、驚異的なのです!
ぷるぷるの肌を持つ赤ちゃんや、奇妙な仕掛けのある紳士や、はたまた人形ではなくただの「立方体」までもが、小さな舞台の上で生き生きと動くのです。
しかも、糸操りで!
そのようすはただただ驚きの連続で、しまいには宇宙でも観ているような気分にさえなりました。
その後、幸運にも山田さんの工房にお邪魔したことがあったのですが、なんと水中で上演する糸操り人形まであるのです!
水のなかで……!
芸術家というものは、果てしないイメージをその手で具現化できるひとなのだ!
宇宙をぎゅうっと集めて磨いて、誰もが目の前で観られる作品として、表現できるひとなのだ!
と、尊敬と感動のあまりクラクラしたものです。
この文章の「!」の多さからも、私が受けた衝撃が伝わるでしょうか……!
山田さんがたびたびおっしゃっている「人形の不自由さのなかにある自由」ということばも、とても印象的です。
爆笑も感動も体感できる、大人にこそ見てほしい人形劇
いいだ人形劇フェスタで、私が床を転げ回らんばかりに大笑いした作品が、人形芝居 燕屋(つばめや)による「グリムのかばん」です。
燕屋さんのおしゃべりの巧さときたら、一流の芸人や落語家にも引けをとらないほど。
そのリズム感、ことば選び、そして絶妙のアドリブ。
客席は爆笑に次ぐ爆笑でした。
私は人形劇であんなに腹を抱えて笑ったことはありません。
しかもこの作品では、なんと燕屋さんは人形の代わりに「キッチン用品」だけで、世界の名作グリム童話を上演していくのです!
またしても「!」です。
スプーンやお玉やカップなどの日常にありふれた「物」たちが、お姫様や魔女にしか見えなくなっていくのですから、もはや魔法のよう。
このように物を生かした表現を「オブジェクト・シアター」と呼んだりもします。
毒気もたっぷり含んだ彼の話術と見事な操演には、人生に疲れ果てて心がぐねぐねにねじ曲がったような大人たちでさえ、思わずゲラゲラと笑ってしまうこと請け合いです。
大人こそ観るべき人形劇!
しかも燕屋さんは人形劇界の重鎮であり、とても偉い方のようです。
こんな面白いおじさんが、日本の人形劇界を牽引されているのかと思うと、未来は明るいですね。
人生が変わるかも!底知れない魅力をもつ「人形劇」の素晴らしさ
そして、いいだ人形劇フェスタで、私が自分でもびっくりするくらい号泣したのが、人形劇団ひぽぽたあむの「ハリネズミと雪の花」でした。
この作品はロシアの原作をもとにした、幼児でも楽しめるパペット(手にはめて操る人形)ショーです。
かわいいハリネズミやクマちゃんやうさぎちゃんたちが出て来て、「まあ微笑ましい〜」などと観ていた私は、数分後には涙をぼろぼろ流しておりました。
カーテンコールで演者さんたちが出て来られた時にも、なぜか涙が止まりませんでした。
この出来事については、ちょっとことばでうまく説明ができません。
ただもう、物語の美しさ、登場動物たちのまっすぐさ、そしてきちんと仕掛けられた「人形劇のための舞台装置」の凄さ、などなどに身体を撃ち抜かれたようでした。
でも結局のところ、おそらく主宰の永野むつみさんが放つ、強く慈愛に満ちたエネルギーにやられたのではないかと思います。
人形劇とはすごいものだ、と衝撃を受けた作品でした。
しかもこの作品を、永野さんはなんと四半世紀ものあいだ上演しつづけていらっしゃるのだとか。
永野さんのブログ「59点ママでいいじゃない!」がまた素晴らしいので、お子さんがいる方も、そうでない方も、ぜひご一読ください。
いいだ人形劇フェスタで出会った上記3つの作品は、いずれもベテランの方によるものばかりでした。
そしてこのことが、私の人生を少なからず変えることになりました。
人形劇をやってみたい!
オブジェクト・シアターをやってみたい!
この先25年も上演できるような作品を創りたい!
新たなわくわくのもとを授けてくださった偉大なる人生の先輩方に、心から感謝しています。
皆さまの町にも、人形劇がやって来たらぜひ一度のぞいてみてください。
人形劇と侮るべからず。
人生が変わるかもしれません。
今回もお読みくださってありがとうございました。
次回は連載の最終回です。
どうかあたたかくして、美味しいものを食べて、笑ったりもしてくださいね。
See you soon!
今回ご紹介した天才アーティスト「人形劇団ココン」、NHK Eテレ「ムジカ・ピッコリーノ」レギュラー出演の「ハッチ・ハッチェル」、国内外で大活躍の「人形劇団望ノ社」が豪華競演、そしてヤノミが司会を務めるスペシャルな公演がこちら!
クリスマスファミリー人形劇 in こしがや
「クリスマス・キャロル~スクルージと3人の影の幽霊」
◆ 日時
2020 年 12 月 6 日(日)15:15開場/16:00開演
上演時間:約90分 受付開始:15:00~
◆ 会場
越谷サンシティホール 小ホール
JR南越谷駅・東武スカイツリーライン新越谷駅から徒歩3分
※入場者数は客席数に対して1/3とし、ソーシャルディスタンス・検温・マスク着用・消毒など、感染症対策を講じます。
◆ 料金
一般券 ¥1,500
高校生以下割引券 ¥1,000
シニア割引券(60歳以上)¥1,200
親子ペア券 ¥2,000
>> 一般1名+高校生以下1名のセット券です。
おうちで視聴券 ¥1,000
>> こちらの券1枚で、ライブ配信・アーカイブ視聴ともご覧いただけます。
※未就学児以下は無料です。
※高校生以下およびシニア割引券ご利用の方は、身分証のご提示をお願いする場合があります。
◆ 通常公演のチケット申し込み
オンラインでのお申込みはこちらをクリック
※クレジットカード決済のみ対応しております。別のお支払い方法をご希望の場合、以下のお問合せから直接ご連絡ください。
◆ ライブ配信「おうちで視聴券」の申し込み
こちらをクリック
※ツイキャスでの配信になります。こちらでアーカイブ配信の視聴も可能です。
◆ お問合せ
Email. info@mochinosha.com
Tel. 050 - 5534 - 8597