皆さま、こんにちは!
さすがに少しは秋の気配がしてきましたね。
思えば短めの夏でした。
夏の良さというのは、「ビールがおいしい」に次いで「洗濯物がすぐ乾く」ですよね。
洗濯が大好きな私にとっては、干してから1時間後にわざわざ洗濯物を触ってみて「わあ!もうこんなに乾いてる!」などと感激するのが楽しみのひとつです。
さて、前回はややボリュームが大きめになりましたが、もううんざりされているでしょうか?
いや、そんなことはないはず!
小心者でありながら異様にポジティブな私から、今回もスタンダップ・コメディの魅力について、それも国内のシーンについて、意気揚々とご紹介してまいります。
Let’s do it!
日本で活躍する一流スタンダップ・コメディアン
日本ではまだあまり知られていないスタンダップ・コメディですが、実はこのジャンルにもすでに一流の日本人コメディアンたちが存在します。
ナオユキさんはそのなかでも異彩を放つ芸人さんです。
さびれた安酒場にいるうだつの上がらない飲んだくれや、図々しい女や、ひたすらダメ~なひとたちについて大阪弁で語り、演じます。
その声やリズム、表情、ネタの内容、片手に酒のグラスを持ちながら語る姿に、ナオユキさんのスタンダップを「ブルースだ」と評するひともたくさんいます。
実際に彼は日本中のライブハウスでミュージシャンやダンサーと共演することもたびたびあります。
また、演芸場やテレビ番組などにも引っ張りだこです。
かの「笑点」でご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
あまりいろいろ言うのも野暮ですから、ぜひ動画をのぞいてみてくださいね。
【ナオユキ 笑点の動画】
ナオユキさんのスタンダップを観るたびに、極上の短編映画を観たような、オムニバスの演劇を観たような、いい音楽に揺られたような気分になるのは、私だけではないでしょう。
素晴らしいコメディアンというのは、様々な役を演じる名俳優でもあり、自分自身の芸に対する演出家でもあり、ことばや構成を選び創る脚本家でもあるのです。
ナオユキさんのスタンダップを観るたびに、にんげんとはなんと無駄で、なんと愛しい生きものだろうか、と感じます。
さて、私がスタンダップを始めたのは、何人かの友人の勧めによってでした。
元来とてもおしゃべり好きなくせに、なぜか無言劇をやっていた私に、芸人仲間や友人たちが「ヤノミちゃん、喋りなよ!スタンダップやりなよ!」と提案してくれたのがきっかけでした。
私は舞台活動の他方で、結婚式の司会を10年ほどやらせていただいているのですが、そこで出会った面白い出来事について、ある日とある飲み仲間たちに話していました。
それを聴いた彼らが爆笑し「ヤノミちゃん、それ舞台でやりなよ!」と言ってくれたことで生まれたのが「新郎新婦の入場です!」というスタンダップ・コメディです。
【新郎新婦の入場です!】
日常のなかにある「非日常」の場面、結婚式。
そこで目にした実際のハプニングや困った人びと、感動の瞬間。
それらはどれもコメディとして最高のエピソードだったのです。
無言劇ではまったくの架空の物語をファンタジーとして創っていますが、スタンダップというのはちょうどそれと真反対、現実の世界を詳細に描くことから生まれる笑いの世界です。
そして、それらのエピソードを再現することにより、同じ演目のなかでいくつもの登場人物を演じることができる「ひとり芝居」の要素も加えることができ、私にとっては非常に面白いスタイルでもあります。
7月には人生初の生配信ライブも行いました。
日本でスタンダップ・コメディを普及しようと精力的に活動するコメディアンたち
さて、2016年に日本スタンダップコメディ協会を設立したのが、ベテラン演劇人の清水宏さんです。
ヨーロッパや北米などの英語圏のみならず、アジアやロシアやメキシコなどへもスタンダップ・コメディのソロツアーを敢行してきた清水さんが会長となり、日本にスタンダップを広めるという強い意志のもと、これまでに実にバラエティ豊かなゲストを迎えて公演を行っています。
お笑い芸人だけにとどまらず、落語家、ラジオのパーソナリティ、歌手、講談師、俳優、脳科学者にいたるまで、広い素舞台(セットの一切ない舞台)のマイクの前に引っ張り出し、スタンダップに挑戦してもらうという、まさしくその手法こそが挑戦的な活動です。
かつて、とある演出家がこう言いました。
「本来、演劇っていうのは誰でもできるものなんだよ。だけど、ほんとうには誰にでもできるわけじゃない。」
なんだか禅問答みたいなことばですが、とても印象的でした。
私の勝手な解釈ですが、演劇がそうであるように、
「本来、スタンダップは誰でもできるもの」のはずではないかと思います。
それは、ひいては「本来、にんげんは誰もが自由である」と同義なのだと思います。
スタンダップという文化を日本に広めようとしているコメディアンたちは、広く「にんげんの自由」というものを信じているのではないかと思うのです。
そして、演者だけでなく、それを受け取る観客の自由をも育てようとしているのではないかと思います。
また、無言劇が耳の不自由な観客にも届くのに対し、スタンダップは目の不自由な観客にも届く、という事実に、私はとても惹かれています。
清水宏さんのYouTubeチャンネル「清水宏の屋根裏のオレンジ」には、彼の熱い情熱のスタンダップや、貴重な体験談、ゲストとの対談などが次々とアップされています。
ぜひご覧くださいね。
そして一人でも多くの方が、スタンダップ・コメディに興味を持ってくださいますように!
まだまだ書き足りないところですが、今回もやはり多めになったので、かろうじて収めます。
皆さまの日常に、笑いがありますように!
See you next week!