夏!夏!真夏!ですね。
Are you still alive?
8ヶ月ぶりに大きな舞台公演(にんぎょひめ)を終えて、ほっとしているヤノミです。
この状況の中、舞台に立てることの奇跡を改めて感じております。
生身の人間同士の接触がことごとく禁じられている今、観客の目の前でパフォーマンスができること、子どもたちの笑い声をじかに聴くことができること、同じ空間を共有できることのありがたさ。
まだまだ厳しい状況が続きますが、シアターが未来へと繋がっていきますように、願いを込めてこのコラムを書かせていただきたいと思います。
さて、今回はシアター世界の中でもアダルトなジャンルについて少しだけご紹介したいと思います。
夏だしね。
あなたもお好きでしょ?
アダルトでお洒落なエロティシズムは?
海外シアターの魅力
日本で「演劇」と呼ばれるものは、私から見るとかなりその範囲が限定的です。
実際、私が海外で観てきた多種多様な舞台作品は、日本の演劇界では「演劇」と認識されないこともしばしばです。
しかし世界は広く、演劇の世界も無限の豊かさを持っています。
私が「シアター」ということばを好んで使うのは、広く「舞台芸術」というものが好きだからというのが理由のひとつです。
海外のシアターには、日本では想像もつかないほど豊かなジャンルが存在します。
そして、その道に生涯を捧げている一流のアーティストたちが。
たとえば、大人だけが楽しめるジャンルのひとつに「バーレスク」が挙げられます。
北米のシアターでは観劇の年齢制限が厳しく定められており、演目内容に過激なものが含まれる場合には、そのレベルに応じてR指定がなされます。
R15とかR18とか。日本でも映画などではたまに見かけますね。
バーレスクは子ども禁止の完全大人向け、「マチュア(=mature 成熟した、分別のある)」にあたる舞台芸術です。
私もコメディエンヌとしてこれまでにいくつかのバーレスクショーに出演したり、国内外の友人たちのショーを多く観劇してきました。
繊細なものからダイナミックなものまで。大人だけが楽しめる魅惑の「バーレスク」
バーレスクの歴史は長く、一言では説明が不可能ですが、現代のバーレスクは主に風刺やメッセージを含むストーリー性のあるダンスで、演者が少しずつ衣装を脱いでいきながら観客を魅了するものです。
いわゆるストリップとは一線を画す様々なルールがあり、全裸に近いところまで脱ぎながらも大事なポイントは隠されています。
- 衣装やヘアメイクの美しさ
- 踊りの技術
- 音楽性
- 仕草や目線にまで至る色気
- コメディやお芝居の要素
- 風刺やパロディの要素
- それぞれの唯一無二の肉体美
- そこに宿るスピリット
と、見所は満載で、たくさんの要素で構成されています。
またソロショーのほかに、デュオやグループによる演目もあり、繊細なショーからダイナミックなものまでバラエティ豊かなのです。
一見、男性客ばかりが喜ぶお色気ショーかと思うでしょうが、性別を問わず「人間の美しさや強さ」を表現するバーレスクは、近年ますます舞台芸術として注目されています。
女性ダンサーだけでなく、ボーイレスクと言われる男性によるバーレスクも盛んで、最近では日本のお笑い芸人なども挑戦しているとか。
世界的なコンペティションやフェスティバルも多数開催されています。
またバーレスクにおいて重要な要素のひとつ「風刺」についても、政治的な風刺から社会風刺、宗教風刺、あるいは演者自身の人生を風刺するものまで、実に多様です。
日本人アーティストたちはまだまだ非常に苦手とする風刺ですが、海外のアーティストたちはとても軽やかに、滑稽に、そして粋に自分たちの思想や批判を表現するなあと、何度も舌を巻いたものです。
日本でも海外で活躍するトップアーティストの「バーレスク」が楽しめる!
日本のバーレスク界にも海外で活躍するトップアーティストたちがたくさんいます。
まだご存知ない方も多いでしょうから、少しでもご紹介できればと思います。
日本を代表するバーレスクダンサーのひとり、私の敬愛するコッペリア・サーカス。
2019年7月に上演された彼女のショーに、私もとある役で出演させていただきました。
これ以上はあえて説明なしで、まずは動画をご覧いただければ!
百聞は一見にしかず。
※ヌードがあるため、職場でお読みくださっている方はご注意くださいね!
「WELCOME TO COPPELIA CIRCUS HUT!!!~Life is a journey!~」
自分の肉体を舞台上で文字通りさらけだすバーレスクダンサーは、一般的な女優や俳優以上に無防備であり、役柄を演じる以前に生身の自分自身と真摯に対峙しているように思います。
肌の色や体型をはじめ、生い立ちやジェンダーや生き様のすべてが顕になることが多いからです。
彼らの勇気はもちろんのこと、ただの自己主張などにはとどまらない真の自由の希求、人種や性別を超えた人間讃歌、あるいは人類のプリミティブなよろこびや哀しみの表現に触れるたびに、私はシアターの原点を見る思いがします。
そしてコメディとバーレスクは元々、近いスピリットを持っているのだろうなあとも思います。
今や日本でもバーレスクのワークショップがあちらこちらで開催されています。
興味の湧いた方はぜひ覗いてみてはいかがでしょう。
今週もお読みくださってありがとうございました!
お楽しみいただけたでしょうか?
次回も大人だからこそ味わえる演劇についてお話ししたいと思います。
引き続き楽しい夏を!
美味しいビールを!