定期預金の利息が限りなくゼロに近づいている現在、将来のために資産を増やそうと投資を考えている人も増えています。
「初心者向け、投資」でインターネットを検索すると、「iDeCo」や「NISA」の文字が目立ち、興味を引かれた人も多いのではないでしょうか。
また、銀行から「iDeCoやNISAをはじめてみませんか?」と勧誘を受けた人もいると思います。
その一方で「iDeCoとNISAの内容や違いがよく分からない」……と悩む人も少なくないハズ。
そこで当記事では、iDeCoとNISAのそれぞれの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
自分にはどちらが向いているのかなども合わせて紹介しますので、iDeCoやNISAに興味がある人は、ぜひ読んで見てくださいね!
目次
「iDeCo」と「NISA」それぞれの特徴を解説
それでは早速NISAとiDECOについて見ていきましょう!まずはじめに、NISAとiDeCoのそれぞれの特徴を解説します。
2つにはどのような違いがあるのでしょうか?
「iDeCo」は個人型確定拠出年金
まずはiDeCOを確認していきましょう。
iDeCoとは、確定拠出年金法に基づいた「私的年金」の1つです。
国民年金や厚生年金といった「公的年金」と大きく異なる点は、自分で運用先や掛け金を選べるという点です。
私的年金は、企業が社員の福利厚生の一環として行っている「企業年金」や銀行や生命保険会社が商品として販売している「個人年金」などがあります。
国の年金とは別に、自分で年金を準備するというイメージですね。
iDeCoの特徴
- 自分で運用法を選べること
- 加入できる人と掛け金に上限があること
iDeCoに加入すると掛金や運用益、そして給付を受け取る際に税制上の優遇措置を受けることができます。
iDeCoは加入資格のある人であれば、月々5,000円~から加入できます。
少額から始められるのは有難いですね!
また、商品の中には「元本保証」の商品もあるため、安心して資金運用ができる部分がメリットと言えます。
ただし、一度積み立てを始めると、基本的に60歳まで引き出すことはできません。
急な出費があってもアテにはできないものと考えておく必要があります。
iDeCoの加入資格は以下の表のとおりです。
iDeCoの加入資格がない |
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iDeCoの加入資格がある |
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月額掛け金の上限は以下のとおりです。
1.2万 |
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2万 | 企業型確定拠出年金に加入している会社員 |
2.3万 |
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6.8万 | 国民年金の第1号被保険者(学生・フリーランス・自営業者) |
掛け金の上限に差があるのは、iDeCoが厚生年金と国民年金の差額を埋めるために考え出された商品のためです。
iDeCoに興味がある人は、まず加入資格の有無と月額どれくらいの掛け金がかけられるのかを確認しておくといいでしょう。
NISAは少額投資非課税制度
次にNISAを見てみましょう。
NISAは「少額投資非課税制度」という仕組みです。
日本では、株式をはじめとする投資で利益が出ると20.315%の税金がかかります。
ですがNISA口座から投資を行っていれば、利益や配当金が毎年最大120万円、最長5年間非課税になります。
つまり、最大で600万円分を非課税にすることが可能です。
これはなかなかお得ですね!
なお、NISAには一般的なNISAと積み立てNISAがあります。その違いを以下の表で確認してみましょう。
投資できる商品 | 非課税になる金額 | 非課税になる年数 | |
NISA | 株式投資投資信託ETFなど豊富 | 120万/1年 | 5年 |
積み立てNISA | 投資信託(ETFを含む)限定 | 40万/1年 | 20年 |
なお、NISAの場合は5年で満期を迎えても同一証券会社に新しいNISA口座を開くことで、新たに5年間投資から得た利益を非課税にすることができます。(積み立てNISAは不可)。
NISAも積み立てNISAも100円代から投資が可能なので、少額から投資できる特徴があります。これなら投資に不安がある人でも気軽に始められるのではないでしょうか。
また、急に資金が必要になった場合などいつでも解約することが可能です。これはiDeCoと大きく異なる点ですね。
iDeCoとNISAそれぞれのメリット・デメリット
iDeCoとNISAのそれぞれの特徴を理解した所で、次はメリットとデメリットを確認しておきましょう。
iDeCoのメリット・デメリット
まずiDeCoには、以下のような税制上のメリットがあります。
- 掛け金が全額所得税控除になる
- 運用益が非課税
- 受け取り方法にかかわらず一定額が非課税になる
自営業者はもちろんのこと、会社員や第三号被保険者にとっても節税対策になります。当てはまる人にとって税金対策の一つとして活用できそうです。
また、運用上には以下のようなメリットがあります。
- 自分で運用方法を検討できる
- 利益は低いが元本保証の商品がある
- 月々5,000円~運用可能
- 受け取り方法も選べる
銀行や生命保険会社の個人年金の場合、運用方法は会社に一任となりますが、iDeCoの場合はどの商品で運用するかを自分で決められるのが大きなメリットですね。
1つの商品に掛け金を全て使うこともできますし、複数の商品で分散運用することも可能です。
運用がうまくいけば、高い利益を上げることも可能です。
また、年金の受け取り方法も一時金として一括受け取りするか、年金で分割受け取りするかを選べるのも嬉しいメリットですね!
メリットが多いiDeCoですが、以下のようなデメリットもあります。
- 原則60歳まで引き出すことができない
- 元本が減ることもある
- 各種手数料がかかる
iDeCoは原則60歳まで積み立てたお金を引き出すことはできませんが、掛け金を下げることは可能です。若い年代から始める場合は、掛け金の額をよく考えることが重要なポイントです。
また、iDeCoの販売している商品の多くが元本保証されていません。世界の経済状況によっては元本割れが起こる場合もあります。
このほか、商品を購入する際は手数料もかかるので、買い方によっては利益がなくなる場合もあるので、よく考えて購入することが大切です。
NISAのメリット・デメリット
次にNISAのメリット・デメリットをみていきましょう。NISAのメリットは下記のとおりです。
- 投資で得た利益は年額120万まで非課税にできる
- 少額から投資ができるので低リスク
- NISA口座を開く証券会社によっては、運用によってTポイントや楽天ポイントが使える
- 確定申告が不要
投資には一定のリスクが伴いますが、NISA口座を使えばリスクを最低限に抑えられます。
特に、積み立てNISAの場合は投資先が投資信託に限られているので、より低リスクです。
また、楽天証券でNISA口座を開くと楽天ポイントが、SBI証券でNISA口座を開くとTポイントが使用できます。ポイントで手数料の支払いなどができるのでお得ですね!
もちろん、デメリットもあります。
- 損益通算ができない
- 繰越控除の適用がない
- 利益の繰り越しができない
- 1人1口座しか持てない
損益通算とは、複数の証券口座を持っている場合に使える通算方法です。
たとえば、A口座で利益が出て、B口座で損益が出た場合、利益から損益を引いた額に対して所得税がかかります。
なので、A口座で利益を出してもB口座で損益が出た場合、所得税は少なくなります。
しかし、NISA口座ではこの手が使えません。
NISA口座で損益を出し、NISA口座以外で利益が出た場合、利益から損益を引けないのです。つまり、運用の仕方によっては所得税が上がる可能性もあるのです。
繰越控除とは、金融商品の売却によって損失を受けた額を3年間繰り越して利益と相殺できる確定申告の仕組みです。
NISA口座で損失が出ても、確定申告が不要なので繰越控除が使えません。
このほか、NISA口座で行った投資の年間利益が120万未満でも、残った分を翌年に繰り越すこともできません。
そして、NISA口座は1人1口座しか持てません。証券会社を変えても適用されないので、口座を開設する際は注意が必要ですね。
iDeCoとNISA、自分に向いているのはどっち?
少し難しい内容もありましたが、おおむね両者がどんなものか理解できたのではないでしょうか。
ここで気になるのが「自分はどちらを選べばいいのか」「iDeCoとNISA、どちらが向いているのか」ですね。
下記でタイプ別、目的別にどちらを活用すればいいのか紹介していきます。
なお、iDeCoとNISAは併用も可能です。
「資金に余裕があるならば両方やってみる」という選択肢もありますよ!
老後の資金を積み立てたいならiDeCo
「老後が心配……」
「公的年金だけでは不安」
「しっかりと老後資金を貯めていきたい」
上記に当てはまる人は、iDeCoがオススメです!
iDeCoは個人年金の一種なので、公的年金だけでなく自身でもしっかりと老後資金を準備したい人にはピッタリです。
ただし、60歳までしか加入資格がないので、可能ならば50歳までに加入しておきましょう。10年積み立てればまとまった金額が得られます。
若いうちから始めれば、かなりまとまった金額が準備できますよ!
資産を増やしたいのならNISA
「資産運用してみたいけど、リスクが心配……」
「投資に興味はあるけどまとまった資金は出せない」
「貯金とは違う形でお金を管理できないかな」
上記に当てはまる人はNISAがオススメ!
NISA口座を利用すれば、効率的かつ低リスクで資産を増やすことができます。
たとえば「子どもが5年後に大学へ進学するので、資産を増やしたい」などという人にもぴったりです。
NISAは途中で解約することができますが、控除を受けた年数は戻りません。
たとえば、運用3年目で理由があってNISA口座を解約した場合、別の証券会社や銀行で新しくNISA口座を開いても、控除を受けられる年数は2年です。
NISAの利益をiDeCoに積み立ててもOK!
どちらにも興味がある!という人は、もちろん両方取り組む事ができます。
NISAとiDeCoは一緒に利用することができるのですが、例えばNISAで出した利益をiDeCoを利用して積み立てることも可能です。
同時に活用することでマネーリテラシーが向上し、資産管理のスキルも身につくかもしれませんね。資金に余力があればぜひ、チャレンジしてみてください。
2024年より新NISA制度開始
さて、ここで注目しておきたいポイントが一つあります。
それは、現行のNISA制度は2023年度で終了するということです。
2024年度から行われる新NISAの場合は、まず積み立てNISAの対象商品である、金融庁の基準を満たした投資信託を購入し、20万円を上限とした利益が非課税になります。
そのうえで株式や投資信託から得た利益が102万円まで毎年非課税になるのです。
つまり、自由度は低くなる分、5年間で10万円非課税になる金額は増えるという仕組みになるワケですね。
現行のNISAのほうが使い勝手がいいと思う場合は、2023年度中に口座を開いておきましょう!
まとめ:それぞれの特徴を理解して賢く投資しよう
iDeCoとNISAについて解説してきましたが、いかがでしたか。自分で取り組んでみたいタイプを理解できたでしょうか。
- iDeCoは個人年金の一種
⇒ 年金を補てんしたい場合はiDeCoを利用がオススメ!
- NISAは投資で得た利益の一部が非課税になる制度
⇒ 投資で資産を増やしたい人はNISAがオススメ!
と理解しておけば、今後の資金計画にも必ず役立てると思います。
どちらも「元本割れ」のリスクはありますが、単に銀行へ預けるより利益を得やすい商品です。
また、比較的安全性の高い銘柄ばかりを取り扱っているので、大きな損をする可能性は低く、投資初心者でも安心です。
この記事を読んで、少しでも興味が沸いた人は、早速口座開設を行い、未来の自分のために準備を始めましょう!