Series 小心ズ、ワールドコメディの旅

小心ズ、ワールドコメディの旅 ろう者のためのシアターフェスティバル③

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【お詫び】

「小心ズ、ワールドコメディの旅 ろう者のためのシアターフェスティバル②」の次に当記事がUPされる予定でしたが「小心ズ、ワールドコメディの旅 女性クラウンの国際シアターフェスティバル①」が先に掲載となってしまいました。編集部の手違いで読者、ユーザーの方々にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

※下記、現在までの掲載記事シリーズ順一覧です。

◆小心ズ、ワールドコメディの旅 <掲載記事シリーズ順一覧>

自己紹介&経歴 「はじめまして!」「そして、海外へ!」「最高のバズ!」
北米フリンジの魅力 「北米フリンジの魅力」「北米フリンジの魅力②」
子どものための演劇 「子どものための演劇」「子どものための演劇・海外編」「ポーランド・子どものための演劇祭①」「ポーランド・子どものための演劇祭②」
大人のための演劇 ①バーレスク②ストーリーテリング③スタンダップ・コメディ④スタンダップコメディ 日本編⑤ボードビル
ろう者のためのシアターフェスティバル ろう者のためのシアターフェスティバル①ろう者のためのシアターフェスティバル②ろう者のためのシアターフェスティバル③
女性クラウンのシアターフェスティバル 女性クラウンの国際シアターフェスティバル①

皆さま、こんにちは!

急激に寒さが増し、冬の気配すら感じられるくらいです。「クリスマス一番乗り!ミュージック&パペットショー」新作の生配信をご覧くださった皆さま、ありがとうございました。

小心ズはさらに次なる新作に向けて、日々創作を行っております。

さて、盛り沢山の内容でお届けしておりますこのコラム、前回につづき今回も「ろう者のためのシアターフェスティバル」についてご紹介してまいります。

Here we go!

□ヤノミとは?
コメディエンヌ。アメリカ、カナダなどを中心に世界中でコメディを上演しているビール好き

演劇を通したミスしゃっくりとろう者の熱いコミュニケーション

左から、パントマイム・アーティストDavid Gaines、ヤノミ、手話通訳者Susan Thompson Gaines

私は長年にわたり自分の代表作でもある「ミスしゃっくりの幸せな一日」を上演しています。

これは完全な無言劇で、セリフを一切使いません

私の演劇スタイルは常に「ジャンル」がわからないと世界中でも言われて来ました。

この作品も、

・クラウン(道化)
・フィジカルコメディ(身体表現を多用する喜劇)
・ソロショー(一人芝居)
・無言劇
・音楽劇(スキャットによる歌や効果音を多用)
・ビジュアルシアター(衣装や小道具や動きなど、視覚的に楽しめる演目)

と、いくつもの要素を持っており、それゆえに言語や年齢や国境やハンディの有無など、いろんなボーダーを超えていきやすい演目です。

2014年、アメリカの首都ワシントンDCで、私は聴覚にハンディのある観客のためにミスしゃっくりを上演しました。

人生初のことでした。

「人生初」は、私の大好きなことの一つ!

ろう学校の子どもたちとミスしゃっくり

シェイクスピア劇場での公演には、メリーランドの学校からも子どもたちがバスで観劇に来てくれました。

聴覚にハンディのある彼らは、客席でも声を上げることはほとんどありませんが、その眼と身体はものすごいエネルギーでミスしゃっくりの言動にリアクションしていました

終演後にロビーに出ると、たくさんの子どもたちが集まって来て、小さな手で手話を使ってあれこれと話しかけてきます。

それはもうにぎやかに。
熱心に。

残念なことに、そのとき私のそばには手話通訳者がおらず、子どもたちが何を言っているのかほとんどわかりませんでした。

私は彼らにハグをしたり、頭をなでたり、握手をしたり、「ありがとう」の手話を繰り返すだけで精一杯でした。

それでも、何度も何度も戻って来てはハグをする子や、恥ずかしそうにしながらも立ち去らない子や、あきらめずに質問を繰り返す子など、たくさんの子どもたちがミスしゃっくりへの親愛を表してくれたのです。

そして私は幸運なことに、彼らと再会するチャンスを与えられました。

翌日、メリーランドの学校を訪問することに!

ミスしゃっくりと子どもたち、感激の再会!

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアとヤノミ

ひとりでツアーを回っていると、肝心な瞬間の写真が少なくてとても悔しい!
このろう学校での写真はほとんどないため、どうぞ想像力を使ってくださいね。

パペット・デュオのワークショップを見学するために、すっぴんの上にジャージで学校を訪れた私を、ひとりの女性教師が見つけ手話でこう尋ねました。

「あなた、もしかしてミスしゃっくり?」

この日は手話通訳者のスーザンが同行してくれていたため、ちゃんと会話が成り立ちます。

先生は大喜びで興奮しながら教室の子どもたちにこう言いました。

「昨日、みんなでショーを観に行ったでしょ?覚えてる?お花がいっぱいついているミスしゃっくり。さて、ここにいるのは誰でしょう?」

子どもたちの目がまんまるくなり、手話や声を使って次々にこう言います。

「クラウン!」
「おぼえてる!」
「ミスしゃっくり!」
「ほんとに?!」
「おなじひと?」

面白かった!楽しかった!と子どもたち

それから次々に担任の先生がやって来て、私はいくつもの教室に招かれ、たくさんの質問を受けました。

「どうしてトイレで歌ったりしたの?」(※そういうシーンがある)
「どうしてショーをやっているの?」
「日本はどのくらい遠いの?」

スーザンの通訳のお陰で、一つひとつの質問に答えることができました。

先生方も「こんな特別な機会、めったにないことです。昨日、劇場で観劇したクラウンご本人が、こうして学校に来てくださるなんて!」と、それは喜んでくださり、私にとっても非常にうれしいサプライズとなったのでした。

かけがえのない経験となったろう者のためのシアターフェスティバル

アフタートークのようす 両端に手話通訳者(右がスーザン)

音のない世界、あるいは音の少ない世界にいる子どもたちに、ミスしゃっくりの世界はどんな風に届いたのでしょうか

私の音楽や音は、彼らにどんな風に見えたのでしょう。

このフェスティバルで出会った数々のアーティストやその公演、多種多様なワークショップ、アフタートーク、そして自分が行なったワークショップは、人生にとってかけがえのない経験となりました。
特に、マスタークラス(プロ向け)のワークショップ、聴覚にハンディのある子どもたちへのワークショップ(幼稚園、小学校)を行なったことは、現在の私にとっても重要な出来事でした。

日本にも、こんなフェスティバルが増えていくことを願わずにはいられません。

我こそはスポンサーに!という方がいらっしゃったら、ぜひご連絡を!

特に私が誰よりもまず日本に呼びたいのが、パントマイム・アーティストのデイビッドと手話通訳者のスーザンという、素晴らしい夫妻です。

彼らについてはまたいずれたっぷりご紹介したいと思います。

今週もおつきあいありがとうございました。
美味しいもの食べて、元気でいましょうね、お互いに!

See you next week!
Have a nice day!

小心ズ新作「覆面のふたり」photo: YOKO Hayashi 衣装:櫻井はるみ

【小心ズ公演 最新情報!】

10月24日(土)新作『覆面のふたり』オンライン生配信
18:00 開演 前売 2000円(要予約 アーカイブ2週間)
経堂さばのゆ ツイキャス「さばテレ」@c:saba38live
https://twitcasting.tv/c:saba38live/shopcart/31359?fbclid=IwAR0EnbHhXd-TcDqv-4aBCVQdO7K-vAf-HZjeYfcC4i_dk_Y_rYyqVWu12aI

詳細は小心ズの公式サイトをご覧ください。
https://shoshinz.jimdofree.com/

【大分公演】小心ズ「覆面のふたり」

大分アトホールにて
10月31日(土)13:00 / 18:00
11月1日(日)13:00
前売 2500円 当日 3000円 中高生 1000円 小学生以下無料
予約:t.elegos.oita@gmail.com
Tel: 080-3967-1932(オオセ)

yanomi

小心ズ/ヤノミ
〇コメディエンヌ/シルクドソレイユ正式登録アーティスト
〇小心ズ/世界各国の演劇祭に出演中
無言劇からバイリンガル司会まで、国内外にサプライズと幸せを運ぶ天衣無縫のコメディエンヌ。世界各地の数々の賞を受賞する実力派。中学校と高校の教員免許を持つ、世界で活躍するアーティスト。小心ズオフィシャルサイト

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