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小心ズ、ワールドコメディの旅「ポーランド・子どものための演劇祭②」

ポーランド2019

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皆さま、こんにちは。

えいっ!と気分転換に髪にグリーンのインナーカラーを入れ、アシンメトリーにしてみたヤノミです。

ますます妖怪に近づくことができました。

信頼できる美容師さんというのは、ちょっと主治医のような、カウンセラーのようなところがありますよね。

私の美容師さんはごきげんな女性で、とってもありがたい存在です。

さて、今回はポーランドの「子どものための国際演劇祭」について、前回のつづきをお話ししたいと思います。道草しても大目に見てくださいね。

□ヤノミとは?
コメディエンヌ。アメリカ、カナダなどを中心に世界中でコメディを上演しているビール好き

多いときは1日3ステージ!朝食も電車も舞台衣装&メイクでなんのその

フェスティバル御用達のカフェの朝食

フェスティバル御用達のカフェの朝食

東欧のお洒落なカフェで優雅な朝食……うっとり……って思うでしょう?

そうは問屋が卸さないのです。

ポーランドのフェスティバルに参加した「ミスしゃっくり」こと私ヤノミ。

実は国際交流基金というところから助成金を受けての海外公演でした。

「この恩義に報いるべく、身を粉にして働かなくては!」と決意し、なんと1日3ステージもの公演を行った日さえありました。

もともと2ステージの予定だったところ、ソールドアウトになったがための急な追加公演で、うれしい悲鳴でもあったのです。

実際、2ステージ目が終わった頃には、私の身体がうれしくないほうの悲鳴を上げておりましたけどね!

ご存知かと思いますが、子どもっていうのはね、朝が早い生きものなんですよね。

そしてご存知ないかと思いますが、ヤノミっていうのはね、夜が長い生きものなんですよね。

朝の10時から公演だなんてもう、宿泊先の素敵なアパートで舞台メイクをして衣装を着て、こんな姿でカフェモーニングですよ!

そしてこのまま路面電車なんかに乗って、劇場へ。

ね、妖怪って実在するんですよ?

舞台衣装&メイクでカフェモーニング

舞台衣装&メイクでカフェモーニング

劇場は自由で素直でハプニングがいっぱい!?

このカフェは何もかもが美味しかった!そして店員さんも素晴らしかった!

このカフェは何もかもが美味しかった!そして店員さんも素晴らしかった!

私の公演にはそりゃもうたくさんの子どもたちが、家族とともに、あるいは学校などのクラス単位で来てくれました。

客席の一番前のエリアには椅子の代わりにマットが敷かれ、小さい子たちはそこに座ってワイワイと観劇します。

日本では桟敷(さじき)席とか、かぶりつき、とも呼びます。

あるシーンで、ミスしゃっくりが舞台の上手(かみて=観客から見て右側)のあたりで客席のほうを向いて、そこにはない想像上の蛇口をひねって顔を洗おうとしました。

するとなぜか、最前列のマットに座って観ていた少年が、突然トコトコと舞台上にあがって来て、ミスしゃっくりの目の前に立ったではありませんか。

えっ?!どういうこと???

私は一瞬びっくりしましたが、「なあに?」という顔で少しはにかみながら私を見上げている彼を見て、なるほどとわかりました。

ミスしゃっくりが見つめていた蛇口の先に彼が座っており、蛇口をひねる手の動きが何度か繰り返されたことにより、彼は私が「こっちへおいで」と自分に呼びかけたのだと誤解したのです。

これは悪いことをしちゃった!困ったなあ。

私はとっさに目の前に立っている小さな両肩に触れて、くるりと回れ右をさせ、そのまま肩を後ろから押して、客席に向かって少年にお辞儀をさせました。

観客は大爆笑!

促されて元気よく客席へと戻って行く彼の姿を見て、私もひとしきり笑いました。

熱心にミスしゃっくりを見つめる子どもたち

熱心にミスしゃっくりを見つめる子どもたちⒸMarcin Jędrzejczak WroFoto

ちいちゃい観客たちはこんな風にまったく自由で素直で、何をするかわかりません。

そうそう、ミスしゃっくりを気に入った子どもたちが、終演後に舞台上から大事な小道具を勝手に持って帰ったのもポーランドでした。

それはお土産じゃないんだけど~!

千秋楽だったのが不幸中の幸いでしたが、これはさすがに冷や汗の出るスリリングな出来事でした。

ショッピングモールのステージでも上演!

ショッピングモールのステージでも上演!ⒸWojtek Cencner

誤解や誤読もウェルカム!演劇やアートは豊かに味わってこそ

フェスティバルの野外会場で

フェスティバルの野外会場で

「ミスしゃっくり」は無言劇なのでそもそもセリフはしゃべらないのですが、私にポーランド語がわからなくても、相手が日本のことをまったく知らなくても、歳がうーんと離れていても、劇場の中では私たちは思った以上に親しくなることができるのです。

一言もことばを発しないミスしゃっくりの表情や仕草を、子どもたちは非常にこまやかに観てくれるし、たくさん想像してくれるのです。

たとえそれが誤解でも!
ウェルカム!

誤解や誤読というのは、演劇に限らずあらゆるアートを豊かに味わうためには、許されるどころか歓迎されるべきことだと思います。

現実の世界では、どこかにいつも「正しいこと」がありそうで、それ以外は「誤解」であり、間違いは許されないことであり、致命的な事態を招く場合すらあるかもしれません。

けれど、演劇やアートの世界では「正しいこと」はひとつではなく、おそらく無限にあるのです。

ひゃっほう!

人生おおむね間違ってばかりの私にとっては、演劇、とりわけコメディの世界が最高に居心地がいいというわけです。

まあちょっと、真面目そうなおとなの皆さんもポーランドに行った気分でこちらの動画でも観てくださいな!たったの1分30秒ですぜ。

【Festiwal Dziecinada】

ビールに次いでシアターが大好きな私は、ほかの公演もできる限り観たいと思い、地獄の3ステージではない別の日にあれこれ観劇しました。

でもやっぱり今回もそろそろ文字数が尽きたようです。

もっと実のあることを書こうと毎回思っているのですが……(そうでもない)。

しばらく子どもの話がつづいたので、次回はおとなの話にしましょうか。

皆さま、どうか楽しい夏を!そして冷たいビールを!
Love & Beer

yanomi

小心ズ/ヤノミ
〇コメディエンヌ/シルクドソレイユ正式登録アーティスト
〇小心ズ/世界各国の演劇祭に出演中
無言劇からバイリンガル司会まで、国内外にサプライズと幸せを運ぶ天衣無縫のコメディエンヌ。世界各地の数々の賞を受賞する実力派。中学校と高校の教員免許を持つ、世界で活躍するアーティスト。小心ズオフィシャルサイト

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