小心ズ、ワールドコメディの旅 ろう者のためのシアターフェスティバル①

小心ズ、ワールドコメディの旅
ろう者のためのシアターフェスティバル QuestFest 2014年

皆さま、こんにちは!

明日からしばらく、島根県の隠岐島にて勝手に合宿を行うことにしたヤノミです。

この記事がアップされる頃は、ちょうど島から帰京する途中くらいのはず。

なにしろずっと旅の人生だったので、こんなにも長らくじっとしていると、心身の具合がおかしくなってくるのです。

美しき離島で、リフレッシュ&クリエイション!

I love touring!!!

さあ、今回はアメリカの首都ワシントンDCにて2014年に開催された、ろう者のための舞台芸術フェスティバルについてご紹介いたしましょう!

□ヤノミとは?
コメディエンヌ。アメリカ、カナダなどを中心に世界中でコメディを上演しているビール好き

目で観て楽しめる舞台芸術「ビジュアル・シアター・アート」

世界で一番好きな場所、空港!あらゆる空港が好き

北米ツアーを回るうちにさまざまな縁に導かれ、2014年に私はQestFestというフェスティバルに参加する機会に恵まれました。

このフェスは聴覚にハンディのある人たちも楽しめるようにとつくられたもので、観客はもちろん演者やスタッフにもろう者が多く、それは楽しくて刺激的な経験をさせていただきました。

ここで上演される演目は、目で観て楽しめる舞台芸術という意味で「ビジュアル・シアター・アート」とも呼ばれます。

何度も書いてきたように、日本で言うところの「演劇」よりも、もっとずっと広い意味で豊かなシアター作品が世界中から集まるのです。

プロデューサーのティムは素晴らしい人物で、舞台芸術やろう者、そしてこのフェスのために情熱をもって長年尽力していました。

事務局スタッフが全員手話を使えるという点もまた、ほかのフェスティバルとは大きく異なり、魅力的なポイントです。

プロデューサーのTimとミスしゃっくり(ヤノミ)

世界中から集まったアーティストたちが、相互に交流できる場をつくりたい」というのもティムの素晴らしい理念で、私たちはみんな、ろう学生のための大学(ギャラデット大学)のホテルに滞在し、食事をともにしたり、ワークショップをお互いに受けたり、舞台を観劇しあったりと、有意義な日々を過ごすことができました。

初日の顔合わせの際には自己紹介があると聞いて、私はあらかじめティムやスタッフたちからいくつかの手話を教わって臨みました。

「私はヤノミです。日本から来ました。ビールが好きです。」

ぐるりと輪になっていたアーティストやスタッフたちは、大きく笑って「オレもだよ!」などと手話で返してくれました。

その時、場はまちがいなくドッと沸いたのですが、ろう者の多くは声を出して笑わないため、音としては静かなままなのです。

けれど彼らはみんな全身で豊かに「大笑い」するため、私はその不思議な「にぎやかさ」を目の当たりにして非常に感激し、また興味深く思ったものでした。

声なき笑い。
音なき称賛。
無音の興奮。

そういったものを、このワシントンDCで、毎日のように体験することになったのです。

「手話」は表現豊かな身体言語

マスタークラスのワークショップも開催。手話通訳者が同席する。右がヤノミ

手話というのは、一般的な言語と同じく日本語と外国語では異なります

しかしながら、尊敬してやまない黒柳徹子さんのお言葉によれば、「異国の者同士が出会っても、手話で会話をするならば、数時間あれば日常会話はできる。そして1週間もあれば哲学の話ができるようになる!」とのこと。

これが手話のできない健常者同士だったら、そうはいかないでしょう。

お互いの母国語をゼロから身につけるには1週間ではとうてい不可能です。

細かな違いがあるにしても、やはり手話は限りなく「ジェスチャー」に近いのです。

まさに身体言語

そこには共通の表現や、似たような動きや意味が始めから無数に存在しています。

また手話では手の動きだけでなく、顔の表情もとても重要な情報です。

こうしたいくつもの理由から、手話者同士ならばたとえ異国の者同士であっても、短時間でコミュニケーションが成立しやすいのだろうと思います。

ということは……、手話は英語やスペイン語や中国語よりも、実は全世界で通用する真の共通語になり得るのでは?!

手話も車椅子も「当たり前」に日常に溶け込んでいる

アフリカのろう者のアーティストたちとミスしゃっくり

アメリカの首都ワシントンDCでは、町なかや地下鉄の車内や飲食店、いろいろな場所でとても頻繁に手話で会話している人たちを見かけました

日本の首都・東京ではこれほど多くの手話を見かけません。

同様に、アメリカでは車椅子の人たちもほぼ毎日見かけます。

どこにでも当たり前のようにハンディキャップのある人々が生活していて、町に溶け込んでいます。

東京に比べて、バリアフリー化が格段に進んでいるというわけでもなさそうなのに、この違いはいったい何だろうと、ずっと不思議に思っています。

身体にハンディを持つパフォーマーたちによる車椅子や松葉杖を使ったダンス作品
QuestFest 2014年

ところで、手話の使える人たちを見ていて私がうらやましかったことがいくつかあります。

・バーやクラブなどうるさい場所でも会話ができる
・ガラス越しや道を挟んでなど、声の届かない距離でも会話ができる
・電車内で会話していても迷惑にならない
・表現力豊かでかっこいい

昨今、ベビー手話(ベビー・サイン・ランゲージ)も世界的に研究が進んでいるそうです。

まだことばを話せない赤ちゃんが、手話を通じて家族とコミュニケーションを取れるというもので、これもまた新たな可能性だなあと思います。

【赤ちゃんとサインで会話 ベビーサイン10選】

さて、手話の魅力について書いていたら、あっという間に文字数がいっぱいになってしまいました!

つづきはまた来週。

どうぞ健やかで楽しい秋を!
Have a good day!

yanomi

小心ズ/ヤノミ
〇コメディエンヌ/シルクドソレイユ正式登録アーティスト
〇小心ズ/世界各国の演劇祭に出演中
無言劇からバイリンガル司会まで、国内外にサプライズと幸せを運ぶ天衣無縫のコメディエンヌ。世界各地の数々の賞を受賞する実力派。中学校と高校の教員免許を持つ、世界で活躍するアーティスト。小心ズオフィシャルサイト